費用と収益(前払/未収/前受/未払)

簿記

②前期以前から発生している前払費用の決算時の処理

年度途中に費用を1年分支払う。

ということはよくあることです。

1年分支払うということは、支払った時から1年間は代金を支払わずにサービスを受けることができるということですよね。ですので、普段の生活には何の支障もありませんし、1年間は支払いのことを考えずに済むので気がラクです。

でも簿記の目的の1つは1年間のもうけを算出することです。

もうけを計算するためには会計期間の1年間の費用と収益の正しい金額を知る必要があります。

ⅰ)費用発生1年目

たとえば、前期(×1年とします)の7/1に家賃120,000円を1年分前払いしたとします。

簿記では費用が発生したとき、発生した金額をそのまま仕訳帳に残していきます。

① ×1年7/1:支払家賃 120,000 / 現金等 120,000

決算を迎える前の試算表にも「支払家賃 120,000」という金額が計上されています。

しかし、この120,000円は1年分の家賃です。

当期は×1年4/1~×2年3/31です。

ということは、×1年7/1に支払った120,000円のうち×1年7/1~×2年3/31までの9か月分だけが当期分の費用として計上できる金額となります。

120,000(円)×9/12か月(円)=90,000(円)←9か月分が当期分

月割計算して90,000円だけが当期分の費用であることがわかりました。

そのため残りの3か月分(30,000円)は次期分の費用として、次期に計上しなくてはいけません。

そこでいったん計上した支払家賃120,000円のうち30,000円は次期の前払分として処理します。

② ×2年3/31:前払家賃 30,000 / 支払家賃 30,000 ←3か月分は次期分

この仕訳をすることで実際にかかった支払家賃の金額を90,000円とすることができます。

決算時には次期分の支払家賃を前払としていましたが、期首を迎えたときにはその期の費用として計上しなおす必要がありますので、再振替仕訳(決算時の逆仕訳)を行うことになります。

③ ×2年4/1:支払家賃 30,000 / 前払家賃 30,000 ←当期分の費用になるのでもう前払ではなくなる

ⅱ)費用発生2年目以降

次は2年目以降を考えていきます。

この例の場合、2年目(×2年4/1~×3年3/31)の期首の時点で支払家賃30,000円が発生していますね。(③参照)×2年4/1に実際にお金の支払いはありませんが、帳簿上では支払家賃が計上されているのです。

×2年7/1にはまた1年分の家賃の支払いが必要となります。

この時には実際に現金等で支払いをしますので、仕訳が必要になります。

④ ×2年7/1:支払家賃 120,000 / 現金等 120,000

で、このまま決算を迎えるのですが、その時に作られる試算表の支払家賃の金額は一体いくらになるでしょうか。

仕訳帳にはこのように記載されています。

×2年4/1;支払家賃  30,000 / 前払家賃 30,000 ←前期に支払われた3か月分

×2年7/1:支払家賃 120,000 / 現金等  120,000 ←当期に支払った12か月分

そのため、試算表の支払家賃の合計は150,000円ということになります。

前期に支払われた当期分の支払家賃3か月分は、お金のやり取りはなく帳簿上だけですがやはり当期分。

さらに7/1には1年分の支払いが必要。この時には実際に12か月分の家賃を支払っています。

そのため150,000という数字は15か月分の支払家賃の金額であると考えます。

決算なので、やはり正しい数字を求める必要がありますので、150,000を月割計算して払いすぎている次期分の3か月分を前払費用として支払家賃から減らしていきます。

×3年3/31:前払家賃 30,000 / 支払家賃 30,000

この時に試算表に計上されている金額が15か月分であるということがわからないと、前払費用として減らせばよい正しい金額が算出されません。

単純に1年分として計算しないように注意が必要ですね。

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